昔話「かさこじぞう」の授業
吉田沙智(北海道・TOSSオホーツク)
最終更新日:2009年5月28日
論文執筆日:2009年5月28日
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昔話の授業を「読み聞かせ」から「読みとり」へつなげた授業です。
昔話は口承文学なので、教材によって内容が異なる場合があります。
「異なる部分」を指摘させると子どもたちは自信をもって発表しました。
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1.昔話の読み聞かせをする。
子どもたちを前に集め、紙芝居「かさじぞう」を読み聞かせた。
最初は騒がしかった子どもたちもいつしかシーンとして聞いていた。
2.実態調査をする。
「このお話、知ってた人?」全員が手を挙げた。
念のため「知らなかった人?」誰も手を挙げなかった。
「でも、知っているお話と少し違う」という子がいた。
昔話は口承文学である。
子どもが知っている話と読み聞かせた話が少し違っていることはあり得るのである。
3.PISA型読解力育成スキル「よみとりくん」で音読練習をする。
「かさじぞう」のページを子どもが書きやすいよう拡大コピーして配った。
まずは音読練習をした。
(1)追い読み
(2)スピード追い読み
(3)先生→子どもの順で1文交代読み
(4)子ども→先生の順で1文交代読み
(5)男子→女子の順で1文交代読み
(6)女子→男子の順で1文交代読み
(7)お隣と1文交代読み
(8)お隣と順番を変えて1文交代読み
(9)立って1人読み
(10)座って1人読み
4.PISA型読解力育成スキル「よみとりくん」を解く。
1年生なので教師が問題文を読み上げては問題を解かせることにした。
どの子も答えを書き込んでいるか、1人1人確認しながら進めた。
5.紙芝居とPISA型読解力育成スキル「よみとりくん」の違いを指摘させる。
昔話は口承文学である。
お話の内容が読み聞かせで用意したものとスキルで違うこともありうる。
そういう時は、どこが違うのかを子どもに指摘させるとよい。
私は次のように発問した。
「さっきの紙芝居と今のプリントは同じ『かさじぞう』です。
でも、違うところがありました。どこか、言える人?」
多くの子の手が挙がった。
「紙芝居のおじいさんは『薪』を売りに行ったが、
プリントのおじいさんは『かさこ』を売りに行っている」
子どもたちは指摘した。
それを大いにほめ、
「実は、このお話は日本のあちこちに伝わっていて、
少しずつ違うところがあるんです。」
という話をした。
子どもたちは(へえー!)とびっくりしたような顔をしていた。
補足 「PISA型読解力スキル」とは
日本の子どもたちにPISA型読解力を育成するためにTOSSが開発した教材です。東京教育技術研究所(電話:03-3787-6654 FAX:03-5702-2384)にお問い合わせください。