http://www.yamadarn.com/ コラム「学校でのICT活用について考える」

学校でのICT活用や,GIGAスクール構想についての覚書(おぼえがき)です。 勤務校で書いた自己研修通信から再構成しました。 内容の一部は,インスタグラムにも投稿しています。

小学校高学年のGIGAタブレットはあたりまえの文具にしよう

原版(紙版):2022年06月03日(金)発行
Web版:2022年08月05日(金)作成
インスタ版:2022年07月29日(金)投稿

タブレットを使って自然に学習できる児童を小学校6年間で育てよう

高学年では,「活用法」はあまり変わりませんが,「活用の心構え」が大きく変わってきます。 「活用法」としては,低学年で学んだカメラや,中学年で学んだTemasを,より使いこなして行くだけの話です。 ですが「自らの判断でタブレットを使って学習できるようになること」を目指して行かなければなりません。

これはGIGAスクール構想が「タブレットを文具のように使って学習できる児童」を目指しているからです。 鉛筆やノートを使って学習するのと同じぐらい,タブレットを自然に使って学習できる児童を育てるのです。 もちろん短期間では達成できないので,小学校6年間を通して育てていく必要があると思います。

自分の判断でタブレットを使える児童を育てよう

高学年の発達段階では,自分の判断で端末を使える児童を育てる必要があります。 「タブレットを出しなさい(開きなさい)」とか「タブレットをしまいなさい(パタンと閉じなさい)」などの指示がなければ動けない児童では困るのです。 「よし,ここは端末の出番だ!」とか「あ,今は違うな! 使うのをやめよう」などと,学習状況に合わせて自己判断ができる児童を目指しましょう。

このことは従来の文具,例えば鉛筆に置き換えるとイメージがしやすいでしょう。 授業で「鉛筆を出しなさい」とか「鉛筆を置きなさい」などの指示を出す必要は,学年が進むにつれて減っていきますよね? 上の学年になるほど「書きなさい」とか「写しなさい」の指示だけで,児童は動き出します。

ですからタブレットでも,鉛筆と同じように「書きなさい」「写しなさい」などの指示だけで動き始める児童を育てるのです。 そのためには児童の実態に応じて,少しずつ積み重ねていく必要があります。 例えば,4月は指示を多めに行い,3月が近づくにつれ少しずつ指示を減らしていくやり方が考えられます。

こうして育った児童は「主体的にタブレット学習に向かう児童である」とも言えます。 タブレットの良さが分かり,自らの判断で積極的に使うことができる児童だからです。 将来的には「情報化社会で自律して生きる力」が身についた大人へと成長していくことでしょう。

多様な手段で発表できる児童を育てよう

GIGA以前の授業には,様々な表現手段がありました。 「ノートに鉛筆で書く」「ワークシートに鉛筆で書く」「作文用紙に鉛筆で書く」「付箋紙に鉛筆で書く」「短冊などの画用紙にマジックで書く」「模造紙にマジックで書く」「前に出て黒板にチョークで書く」「起立して口頭で発表する」などなど。 これらの表現手段を使いながら,児童は分かったことや考えたことを発表してきました。

GIGA以降の授業では,表現手段が格段に増えます。 「グループチャットに投稿する」「写真や動画を投稿する」「デジタルのワークシートに書き込む」「フォームに回答する」「パワーポイントのスライドを作る」「プログラミングでスライドを作る」「スライドを見せながら口頭で説明する」「スライドを動画に変換して公開する」などなど。 これらの新しい手段も,従来の表現手段も,どちらも使うのがGIGA以降の授業です。

高学年の発達段階では,新旧の表現手段を自分で選択できる児童を育てる必要もあります。 例えば,社会科見学で分かったことを,1班はスライドにまとめ,2班は動画でまとめ,3班はワープロ打ちの作文にまとめ,4班はホームページにまとめ,5班は壁新聞(紙)にまとめ,6班はパンフレット(紙)にまとめるようなイメージです。 班は固定メンバーではなく,単元ごとに自由に所属を変えても良いイメージです。

このような児童を育てるためには,やはり実態に応じて少しずつ指導を重ねる必要があります。 例えば,選択肢を提示して自己決定させるやり方が考えられます。 最終的には選択肢が無くても自己決定できるように,児童の成長を見ながら少しずつ育てていくのです。

紙と鉛筆の10倍書ける児童を育てよう

GIGA以降の授業では,感想文や意見文が10倍になるイメージを持つと良いでしょう。 紙と鉛筆で400~800文字(作文用紙1~2枚)を書いた授業が,タブレットで4000~8000文字(作文用紙10~20枚)に書く授業になるのです。 しかも授業時数は変わりません。

もちろん「量」だけではなく「質」も求められます。 そのためには参考文献の引用の仕方や,友達のアドバイスの活かし方などの指導が必要です。 また予測変換や,置換や,アウトライン表示など,タブレットの支援(サポート)機能の使い方を指導していく必要もあります。

道具が変わっても,思考力や表現力を育てることに変わりはありません。 道具が変わることで,作業効率が上がる(作業時間が短くなる)だけの話です。 時代とともに「竹簡と筆」が「紙と鉛筆」に変わったように,今度は「画面とキーボード」になるだけの話です。

なお筆者の経験上,支援学級在籍の児童にとって「タブレットで書く」ことは大変有効です。 手先が不器用な発達特性を持つ児童にとって,紙と鉛筆よりも文章を書きやすいのです。 ゆっくりとしたキーボード入力であっても,予測変換が強力に支援(サポート)してくれるからです。