『プラネタリウム』(大塚愛)の授業
作成日 平成19年8月18日 TOSS分析批評を学ぶ会 千葉幹雄
浜上薫氏の講座で「プラネタリウム」の解釈について学んだ。それは漠然と歌を聞いただけでは思いつかない解釈だけに、ぜひ授業で取り上げてみようと考えた。
『プラネタリウム』の歌をかけ、少し聞かせたあとで問う。
- 発問
- この曲の題名は何ですか。
プラネタリウム
- 発問
- この歌を歌っている人は誰ですか。
大塚愛
(詩を提示したあとで)
- 発問
- 「君」というのは、この人にとってどんな人ですか。
いくつか意見が出たので次のように整理した。
A.自分を嫌って去っていった人
B.自分のほうから別れた恋人
C.亡くなってしまった恋人
D.その他
このうち同じ考えに挙手してもらうと、CとDが多かった。
そこで「D.その他」を選んだ人に問う。
- 指示
- 「その他」を何だと考えたんですか。言ってみたい人?
すると二つの意見が出た。
- そばにはいない恋人
- 子ども
そこでこの二つで指名なしで意見を出してもらった。
次のような意見が出た。
- 3連目2行目に「真っ暗で何も見えない 怖くても大丈夫」とあるから「子ども」
- 5連目に「小さくても小さくても」とあり、最後の連に「小さな手を」とあるか ら、恋人よりは子ども
- 「夏の終わりに2人で抜け出した」というのは恋人同士のことだと思う。
- 「君が好きだよ強くいられる」というのは恋人が支えになっている。
これらの意見を聞いた上で、大塚愛の歌ではあるが、詩である以上誰かを話者と設定していることを話し、話者が女性であることを確認する。
次に「君」は誰かと言うことで話し合いを続ける。
時間の関係で次のような補足を加える。
- 「伏線」として「顔出す消えてく子供の声」
- 我が子がいるからこそ「強くいられる」と考えられる。
- 「二人で抜け出した」というのは、病院から子どもを連れ出す状況。
歌詞をもう一度読ませて、次のようにまとめる。
「これは子どもを亡くした若いお母さんが話者で、我が子のことを君と歌っていると考えていいと思います」
先生方が対象だったこともあり、やや説明が多くなったきらいはあるが、歌詞の分析を自分でしてみると、歌の魅力がまた違ったものになってくることを話して授業を終えた。